田舎ライフ

私の実家は、東京の端っこ。

寧ろ、東京都を名乗るのを憚れる様な神奈川県と山梨県にほど近い田舎町です。

幼い頃は、自生している木苺やマルベリー。ヨモギやツクシ、ノビルにタケノコと言った山菜を取りに野山に入り、よく妹と食べたり母親に夕食に出してもらったりしていました。

都心に引っ越し、結婚して働いている今となっては、なんとも贅沢な幼少期だったなと思うのですが昔はそんな事も解らずぱくぱくと食べていた覚えが…。

そんな、野生児だった私達姉妹ももうすっかり大人になり山菜スポットにはまったく立ち入らなくなってしまいました。

そんな中、妹が結婚で実家を離れ横浜で暮らす事となりました。

『こっちにいるの今年で最後だし、最後にお花見行こうよ』

そんな電話がかかってきたのは、桜が咲き始めた3月末。

都心より少し遅い田舎町の桜が満開になるのを待って、4月上旬妹と実家の愛犬を連れて花見に出かけました。

子どもの頃に私達姉妹が通った幼稚園の跡地、小学校までの道のりの桜並木をゆっくりとお茶を片手に歩きます。

足はやがて、実家の裏にある里山へと。

都心では見る事が少ない、視界いっぱいの桜とむせる程の桜の香りに感傷に浸っていると突然妹が「お姉ちゃん!!のびる!!」と足を止めました。

のびるは、エシャロットに似た山菜で同じ様に味噌に付けて食べる事ができるお手軽な山菜なのですが…。

トレンチコートにスカートにカットソー、ヒールを履いた女性が土の着いた山菜を持っている姿は何ともシュールです。

「懐かしいなぁ、お姉ちゃん久しぶりに山菜取っていこうよ」

そう言って妹はどんどん、山の斜面を登っていきます。

私も、愛犬を抱き土に沈むヒールで山を登ると懐かしい山菜のスポットに辿り着きました。その場所は幼少期のまま変わらずツクシやヨモギ、ノビルがいっぱいに生えています。

「小さい頃みたいだね」

げ、小さいのしかとれない。

そう言ってノビルを引き抜く妹に寄り添い「これは?」と少し茎の太い株を引き抜く。

「おぉ、大きい!!」

確かにその光景は幼い頃の私達そのもの。

(でも、これで最後かぁ)

そんな風に思っていると「ねぇ、やっぱり来年もお花見来ようよ!!」そう、妹が山菜を片手に笑いました。

「お花見って言うより、山菜取りじゃん」

いつの間にか、「そんなに食べれるの?」と聞きたくなる程の山菜を持った妹を見ながらまだ田舎ライフは終わりそうにないなと実感した春なのでした。